「最後だとわかっていたなら」

アメリカ人女性のノーマさんが、最愛の10歳の息子さんを亡くした後に綴った詩です。

その後、アメリカの9・11同時多発テロの追悼集会で取り上げられたことをきっかけに、この詩は、世界中に広がっていきました。


あなたが
眠りにつくのを見るのが
最後だとわかっていたら


わたしは
もっとちゃんとカバーをかけて
神様に その魂を守って下さるように
祈っただろう


あなたが
ドアを出て行くのを見るのが
最後だとわかっていたら


わたしは
あなたを抱きしめて キスをして
そして またもう一度呼び寄せて
抱きしめただろう


あなたが
喜びに満ちた声を上げるのを聞くのが
最後だとわかっていたら


わたしは
その一部始終をビデオに撮って
毎日 繰り返し見ただろう


あなたは
言わなくても
わかっていてくれたかもしれないけれど
最後だとわかっていたら


ひとことだけでもいい
「あなたを愛している」と
わたしは 伝えただろう


確かに いつも明日はやってくる
でも もしそれがわたしの勘違いで
今日で 全てが終わるのだとしたら


わたしは 今日
どんなにあなたを愛しているか
伝えたい


そして わたしたちは
忘れないようにしたい


若い人にも 年老いた人にも
明日は 誰にも
約束されていないのだということを


愛する人を 抱きしめられるのは
今日が 最後になるかもしれないことを


明日が来るのを 待っているなら
今日でもいいはず


もし 明日が来ないとしたら
あなたは 今日を後悔するだろうから


微笑みや ハグや キスをするための
ほんのちょっとの時間を
どうして 惜しんだのかと


忙しさを理由に
その人の最後の願いとなってしまったことを
どうして してあげられなかったのかと


だから 今日
あなたの大切な人たちを
しっかりと抱きしめよう


そして その人を愛していること
いつでも いつまでも
大切な存在だということを
そっと伝えよう


「ごめんね」や「許してね」や
「ありがとう」や
「気にしないで」を
伝える時を持とう


そうすれば
もし 明日が来ないとしても


あなたは
今日を 後悔しないだろうから



ノーマ・コーネット・マレック
(1940-2004)

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